どうも、ひとり世界です。
『あなたの町からお寺が消える理由』
を読みました。
今回はこの本についてです。
◆檀家制度の廃止
お寺に墓を持つという事は、そのお寺の檀家になることを意味します。
檀家とは、そのお寺に葬祭供養を独占的にやっていただく事を条件に結ばれる契約関係の事になります。
元々日本は、家ごとにお墓を持つ慣習は無かったが、江戸時代に急激に勢力を拡大しつつあったキリスト教を弾圧するために、江戸幕府がこの檀家制度を作ったようです。
簡単に言うと
①キリスト教が勢力拡大
②隠れキリシタンも増える
③幕府はキリシタンをあぶり出したい
④国民全員何処かの寺に所属し墓を持てと言う
⑤所属しない人はキリシタンとして弾圧
⑥皆しかたなく寺所属の檀家となる
と乱暴ですが、こんな感じだと思います。
こういう話を聞いちゃうと、興ざめしちゃいますね。
江戸時代から400年以上続いている制度ですが、流石にもう限界を迎えていると思います。
『改革なくして成長なし』これはお寺にも無関係ではなくなりました。
見性院の橋本住職は、この檀家制度にメスを入れます。
檀家制度の廃止に踏み切ります。
よくお年寄りの皆さんが納得したなと思います。
納得はしてもらえなかったけど強引にやったんでしょうね。
『檀家制度がお寺をダメにしている』
とハッキリと言えちゃうところが凄いです。
このお寺単体で運営しているなら、自由にやれますが、
寺というのは上部組織があります。
総本山てやつですね。
そこに睨まれたら村八分にされるかもしれません。
だから普通はそれが怖くて出来ないんですよね。
檀家制度が悪いと思っていても。
なんかサラリーマンとあんまり変わりませんね。
私の所のお寺も、あったはずのお墓が無くなったりしています。
冷静に考えれば衰退していくのは目に見えています。
でも檀家廃止はできないな~。
檀家があれば、そこからお金が定期的に入ってきますし、法事法要も必ずあるしお金も発生する。
これを全てリセットしたら、収入が激減するかもしれませんからね。
◆誰でもWELCONE
橋本住職のお寺改革案は以下の通りです。
・宗教・宗派・国籍をも問わない自由で開かれた寺とする
・檀家ではなく会員とする
・お寺が収入を増やす事を悪としない
・お気持ち止めて明朗会計にする
・遺骨を郵送で受け付ける
・寺の収支を公開する
いや~気持ちいいですね、ここまで言い切ると。
これは成功しない訳には行きませんね。
ここまで逆に舵をきった訳ですから、相当な逆風が吹いたはずです。
それでも突き進む事ができた要因は、自分の信念への自信とメンタルの強さなんでしょう。
結果会員は檀家時代の倍に増え、収入は4倍になったそうです。
檀家制度の前に、家制度が崩壊しかけている現代では、墓も多様化しないと生き残っていけない。
収入が4倍になったって事は、黙っていたけど世間は求めていたという事です。
もう認めなければならないでしょう。
◆死後に関わり過ぎる
この本で感銘を受けたのは、
『日本の仏教は死後にかかわり過ぎている。お釈迦差さまの説いた仏教は一貫して生きるための教え』
これです。
これこそ私が感じていた事そのものです。
そりゃ亡くなった人々も大事ですが、生きているこっちはもっと大事だし大変なんです。
でも誰かが死なないと直面しない葬式仏教、これが今の日本の現実です。日本中の仏教関係者は、死後に関わり過ぎず、生きる為の教えを説くことに力をそそぐべきです。
キリスト教弾圧のための檀家制度は終焉を迎えつつあります。
一旦この流れが強くなり始めると、終わりを告げるのはあっという間です。
私の遺骨は何処に行くのでしょうか。
それではまた。